縁の下ソルジャーズ緊急出動!
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「桃っちは十五歳の時から戦い詰めで、恋愛とかとずっと無縁だったから。耐性無いし、言っちゃ悪いけど早い者勝ちなところはあったよねー」
「それが、いきなりあれだけ熱心にプロポーズされたりしたら、落ちないわけがありませんよね」
「けど桃子姉さん、あの騒動の時既に初瀬さんの事を気にしてる様子だったよね?」
「初瀬さんにその気が無くても、ヒーローとして憧れてるって言われて、初瀬さんの事が気になったんだろうな。あの頃の桃姉さん、世間の噂とか気にして、自信失くしてたし。……んで、気にしていたら色んな様子が目に入ってくるようになって、そしたら普段の様子も悪くなかった、と」
「そりゃ、落ちないわけがないわな……」
「でもでも! 初瀬さんと世良さんってお似合いだと思います! どっちも格好良くって!」
談話室で菓子を齧り、コーヒーや紅茶を飲みながら、戦士達が駄弁っている。今は訓練の休憩時間で、思い切り気を抜いても良い時間だ。だからこそ、こういったお喋りに花が咲く。尚、今日の菓子は世良が手作りして差し入れてくれた物だ。だからこそ、こういった話題が出るわけで。
「それで、お二人の結婚式はいつなんですか? 今初瀬さんが身に付けてる指輪、マリッジリングじゃなくてエンゲージリングですよね?」
向坂の目がきらきらと輝いている。どうやら、こういった話題が大好物であるようだ。
その様子に、皆は顔を見合わせ苦笑する。そして、「いつかなぁ?」と首を傾げた。
「まだしばらく、結婚は無理でしょ」
「初瀬さん、まだ二年目ですもんね」
「周りは気にしないだろうけど、当人達は気にしそうだよね」
そう言って、全員でうんうんと頷き合う。それは、酷く平和な光景で。
そして、いつしか六人は額を寄せ合い、相談事を始めた。お題はずばり、いつかの二人の結婚式で出し物は何をするのか、である。
誰も、気が早過ぎるなどと言いだしたりはしない。それだけ誠と世良の今の関係が嬉しくて、二人の結婚式が楽しみなのだ。
そうして六人は、休憩時間が終わっても戻ってこないのを探しに来たスタッフから怒られるまで相談を続けた。
本当に、酷く平和な光景だった。