夢と魔法と現実と
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ぼくがこのヨにセイをウけて、いちばんサイショにミたイキモノは、きみだった。きみはサイショはコワイかおをしていたけど、ぼくをミているうちに、すごくやさしいかおになったよね。
それで、ぼくはアンシンしたんだ。このヒトといっしょにいれば、ダイジョーブだって。
おかしいよね。ぼくはきみタチをたべようとしているシュゾクで、きみタチからミれば、たおさなきゃいけないアイテだったはずなのに。ぼくも、そんなきみタチをケイカイしなきゃいけなかったはずなのに。
けど、そのヒツヨウはゼンゼンなかったよね。きみタチは、おそるおそるだったけど、ぼくをうけいれてくれた。
ぼくにナマエをくれて、ぼくにごはんをくれて、ぼくとあそんでくれた。
きみタチのイエでたべたごはん、とってもおいしかったよ。フのカンジョウをエサとしてモットもコノムはずのぼくが、アレをたべてから、フのカンジョウなんて……チキュウジンなんてたべなくてもイイとおもうようになったんだ。
それがどんなアジかはシラナイけど、きっとコレよりオイシイものはナイだろうって、たしかにおもったんだ。
それだけじゃない。
ぼくは、ホンライぼくのシュゾクがコノムはずのフのカンジョウを、キラウようにさえなった。だって、それがあふれているバショでは、きみタチはカナシソウで、クルシソウで、ツラソウなかおをしたから。そんなきみタチをみたら、なんだかぼくまで、イヤなキブンになったから。
だから、これはきっとワルイものなんだろうっておもった。
ほんとうに、おかしいよね。ぼくはホントウなら、フのカンジョウがダイスキなはずなのに。おなじシュゾクのなかまタチと、きみタチをおそって、たべちゃおうとするはずなのに。
なのにぼくはイマ、きみタチをタスケて、おなじシュゾクのなかまをジャマしてる。
おかしいよね。ぼくときみタチがイッショにいたジカンはとってもみじかいものだったのに。
けどね、ぼくはそんな……きみタチとイッショにいて、きみタチをタスケようとしているジブンが、イヤじゃないよ。むしろ、きみタチのチカラになれてウレシイっておもってる。ほんとうだよ。
だから、ソンナかおをしないでよ。……ほら、ぼくはホントウなら、きみタチがたおさなきゃいけないシュゾクなんだよ? タオスべきアイテがシンダッテ、カナシソウなかおをするヒツヨウなんてないじゃない。むしろ、ヨロコブべきじゃないのかな?
それでも、きみタチはぼくがイマこうしているのをイヤがってくれるの? ぼくがシヌカモしれないコトを、カナシンデくれるの? ……そんなきみタチだから、イッショにいて、イゴコチがよかったのかな?
みじかいあいだだったけど、ありがとう、りょうすけ。
だいすきだよ。