光と陰と蜃気楼―Tales of Mirage―
04
「戦う準備はできているな、ウィス?」
ゆっくりと歩を進めながら、リアンが問うた。
「うん。けど、乱暴じゃない? いきなり戦いを仕掛けるなんてさ。話し合いができれば、その方が良いんじゃないかな?」
「なら、正直に言ってみるか? 俺達の世界の為に、ミラージュを……こちらの世界を調べさせて下さい。そして、結果によっては滅ぼさせてください、と」
「……それは……」
「面倒なだけだ。なら、初めから敵対していた方が楽で良い」
言いながらリアンは、一度は収めた剣を再びスラリと抜き放った。白銀の刃が、向こうの世界から降り注ぐ陽の光を反射して煌めいている。その美しさと、これから始まるであろう戦闘に、ウィスは溜息をつきつつ剣を抜く。それを視認し、頷くとリアンは足を速め、やがて走り出した。それを追うように、ウィスもまた走り始める。
やがて二人の体を、暖かい陽の光が包み込んだ。