縁の下ソルジャーズ緊急出動!
























「この度も本当に申し訳ありませんでしたっ!」

疲れ切った顔が居並ぶ金曜夜のオフィスで、一人の青年が勢いよく頭を下げつつ声を張り上げた。赤いシャツを着ていて、顔はこれでもかという程に引き攣っている。

毎週この時間に技術四班のオフィスで頭を下げる人間がいるのだ。一人の時もあれば、最高で六人いる事もある。

言わずと知れた、街を破壊した張本人達。変身して街の平和を守る戦士達である。

今頭を下げた赤シャツの青年は、見た目の通りレッドを担当している。名は、中花大和。二十二歳の心優しい青年だが、レッドにあるまじき病弱さとストレス耐性の無さがしばしば給湯室の話題になっている。

その後ろにずらりと雁首を揃えているのが、ブルー、イエロー、グリーン、ピンク。そしていわゆる追加戦士という奴の、ゴールド。

因みに、ゴールド担当の江原鐵は酷く根暗な事で有名である。自分に自信が無いのか前髪を随分長くして目を隠しているし、服も黒のネクタイにブラックスーツだ。……逆に目立ちそうな気もするが。

「あー……まぁたしかに、今回は中々派手だったよなぁ……」

「うん。まさか、ロボットが助走つけて跳んだ上にビル蹴って空を飛ぼうとするなんてな。まぁ、成金趣味でちょっといけ好かない感じのビルだったから、ここだけの話、スッキリしたんだけどさ」

技術四班主任である堀田の言葉に、オフィス内に軽い笑い声が生まれた。ただし、ほとんどが疲れた声色をしている。その様子に、中花が再び泣きそうな顔になった。そして「済みません、済みません、ごめんなさい!」の叫び声が続く。

二十二歳にもなってこれはどうなのだろうかと思いつつも、皆して「大丈夫大丈夫」「わざとじゃないのはわかってるから!」と中花を励まし始めた。

「ちょっと、大和! 謝りに来てるのに、逆に気を遣わせてどうするのよ!」

後ろに控えていたピンクが、中花の頭をぺしりと叩いた。名は、世良桃子。可愛らしい顔立ちだが、二十七歳と戦隊戦士の中では最年長である。そして……。

「あ、あのっ! 世良さん! 僕達、たしかに疲れてますけど……その、世良さんや中花さん達に対して怒ったりはしてませんから! ですから、あまり中花さんを怒らないであげてください!」

そう、叫ぶように言ったのは誠だ。途端に、技術四班の面々がヒュー! と口笛を吹き始める。

「すかさず言ったなぁ!」

「世良さんが中花くんを怒り出すと、いつも割って入るよな、初瀬」

「大好きだもんなぁ!」

「けど、こんな時でもないと話せないもんなぁ!」

最後の言葉に、誠の顔が一気に赤らんだ。

「ちょっ……先輩! 何言って……」

「え、初瀬さん、大和の事好きなの? 見ての通り、これでも男だけど? 大和」

その瞬間、世良以外の全員ががくりと肩を落とした。誠に至っては、半ば絶望したような顔をしている。

「いえ、まぁ中花さんの事も人としては好きですけど……あ、いえもう何でもないです……」

そう言って、無理矢理会話を終了させる。周りの同僚や戦士達は苦笑気味だ。そして世良だけは、首を傾げて不思議そうな顔をしていた。











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