未来から来た魔女

















昔々、世界は悪しき魔女に支配され、人々が苦しめられている時代がありました。



それを哀れに思った天の女神様は、人々を救うため、一人の勇者を地上に遣わしました。



勇者は女神様から頂いた、不思議な力で魔女を倒し封じると、そのまま地上に残り、多くの子孫を遺しました。



勇者の血を受け継いだ彼らは、やはり不思議な力を持っており、やがて彼らは、魔法使いと呼ばれるようになりました。





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「うおりゃあぁぁぁぁっ!」

青く晴れ渡った空の下、青々とした草原に、少年の声が響き渡った。続いて甲高い、金属と金属がぶつかり合う音が鳴り響く。

戦っているのは、十五か十六歳くらいと思われる少年だった。かなりの時間戦っているのだろうか。汗で、こげ茶色の髪が額に貼り付いている。

対するは、一瞬人と見間違えるかと思うような形をした人形だった。

顔に表情が無く、動きもどこかカクカクとしている事から人間ではないという事がわかる。

それは、少年が振り下ろした剣を、何と腕で受け止めた。すると、腕が切れる事も、痛そうな顔をする事も無く……ただ、キィンという甲高い音が生まれ出る。

人形は、金属でできていた。剣とぶつかり合った時の音から推察するに、恐らくは鉄製だろう。

「チッ……なら、ここならどうだ!?」

武骨な鉄剣を、人形の足に力の限り叩き付ける。

強打によって接続部が外れ、バランスを失った人形は地面に崩れ落ちた。ガシャンという音が、辺りに響く。

「ふー……」

人形が襲い掛かってこなくなった事を確認し、脅威が去った事を実感して、初めて少年――セロは安堵のため息をついた。そして、人形の残骸を見下ろし、困ったようにもう一度ため息をついた。

セロの住む村では鉄人形、と呼ばれているこの人形が現れたのは、ほんの一週間ほど前の事だ。

いきなり現れた鉄人形達は、どこからやって来るのか……倒しても倒しても、一向に数が減る様子が見られない。

鉄でできているらしい体には剣が通じ難く、感情を一切出す事無く襲い掛かって来る。戦い難い事この上無く、目下、セロ達にとって最も大きな悩みの種となっていた。

「とりあえず……この辺にはもういないか。一旦村に帰って……」

辺りを見渡しながらつぶやくセロの独り言は、最後まで続く事は無かった。巨大な爆発音が響き渡り、そして鳥達が羽ばたき逃げ出す音や、ギャアギャアという鳴き声が聞こえてくる。

音の発生源は、どうやら、近い。セロは、ある一点を睨んだ。林があり、そこから黒い煙が立ち上っている。

「今の音……それに、あの煙は……。まさか、新手か!?」

それだけ言うと、セロは林に向かって駆け出した。「くそっ!」というつぶやきだけを残して。





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