縁の下ソルジャーズ緊急出動!











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中花が飛び出していってからしばらくの間、技術四班の面々は呆然としていた。しかし、脳はいつまでも呆けていてはくれない。

ハッと我に返り、誠は絶望感の抜けきらない声で呟いた。

「街……まだ元に戻ってない……」

その言葉に、他の者も息を呑む。

今まで、怪人が襲ってくる前の間に復旧を終わらせる事ができなかった事なんて無い。なのに、今回はそれができなかった。それが敵と味方、そして一般市民達に、どのような影響を与えるのか。未知数だ。

それだけじゃない。これまではキツイ仕事と言っても、復旧してから次の攻撃までに一日ないし二日の余裕があった。技術班の者達が体を休め、心を休める時間があった。今回は、それが無い。

体がもつだろうか。心がもつだろうか。

きっと今、技術四班の者なら誰もが同じ不安を抱えている。ベストコンディションでないまま、任務を遂行できるのかと。遂行できたとして、その後休む事はできるのだろうかと。

……いや、と、誠は考えを改めた。

同じ不安を抱いているのは、技術四班だけではないだろう。敵が強くなってきた事実を受けて、より強力な武器の開発を急がなくてはならないであろう技術一班。

ロボットのメンテナンスを急かされるであろう、技術二班。

一、二班と四班が作業の濃度を増す事で施設メンテナンスを頻繁に行わなくてはならなくなるであろう、技術三班。

そしてもちろん、命のやり取りの場である前線に立つ世良や中花……戦士達も。

ごくりと唾を飲み、誠は考える。どうしたら、この不安を払しょくできる? どうすれば、皆の負担が減る?

不安や負担を減らす方法として思い付くのは、一つだけだ。一秒でも早く、街を復活させる事。それに尽きる。

だが、簡単に言えるそれを実行する事が、現実的に見てどれだけ難しいか……。わかっているからこそ、誰も次にどうするべきかを口に出せずにいるのだろう。

だが、と。誠は新たな思考を巡らせた。

このまま、ただ時が過ぎていくのを待っているわけにもいかない。何かやらなければ。どうにかして、世良達の力にならなければ。

でなくば、きっと世良達は、今以上にあの睨み付ける視線に晒される事になる。敵がいつもよりも早いタイミングで襲ってきたなどという事情は、一般人には関係無いのだから。

それに、発電所をロボットが壊してしまったのは仕方ない事であっても事実で。壊れた発電所の復旧に時間がかかり、そのために街の復旧が遅れてしまっているのも、たしかな事実だった。

あんな敵意に晒されて、病弱な面を持つ中花はもつのだろうか? 胃を壊してしまったりはしないだろうか? そうなってしまったら、流石に中花にも引退の噂が付きまとうようになるのか。世良と同じように……。

いや、中花と世良、二人が同時に辞めるような事になったら、ついでと言わんばかりに他のメンバーも入れ替えられてしまうのかもしれない。

世良は……このままではどの道、辞めさせられる事になるのだろう。噂が出回っているという事は、もう上や世論が彼女に戦士を辞めてもらいたいと思っている、と考えても支障は無いのだろう。

嫌だ、とは思う。だが、このままだと確実に、その未来はやってくる。

ネガティブな考えを振り払おうと、首を横に振った。その時、ふと頭を過ぎった考えがある。

馬鹿な……と、誠は自分が考えた事に目を瞠った。いくら何でも無謀だし、危険過ぎる。戦士ならまだしも、運動音痴の自分ではいざという時に逃げ出す事すらできないかもしれない。それに、成功しても怒られるぐらいでは済まないかもしれないし、失敗でもしようものなら全国から総スカンを食らいかねない。

馬鹿な事を考えるな、忘れろ、と。己の考えを打ち消すために、誠は更に首を振る。しかし、考えは消える事は無い。それは恐らく、それが今誠に唯一できる事だと気付いてしまったから。

「おい、初瀬。さっきから首がぐらぐらしてるけど、大丈夫か?」

「大丈夫です」

岩村の問いに、硬い声で、誠は応えた。どう見ても大丈夫ではないその様子に、岩村は首を傾げる。

そんな岩村に、誠は意を決して、先ほどから頭に居座り続けている考えを告げた。

「あの、先輩……。僕、今から街を直しに行ってきます」











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