テレーゼ&フォルカー×縁の下ソルジャーズ緊急出動!



「頼むから、機械類に毛を付着させてくれるなよ……?」

「転んでコードを次々と引き抜いちまうのも勘弁な……?」

「俺の事、何だと思ってんだよ……」

不服そうにフォルカーが言うと、その横でテレーゼがため息を吐いた。

「機械類に毛の巻き込みは厳禁だから、動物は勿論、獣人だって警戒されるに決まっているでしょう。転倒に関しては、フォルカーのドジが情報として伝わった結果でしょうね」

「……俺、第二部ではドジほぼ改善して……」

そんなフォルカーの反論を中断させるように、けたたましいアラームが鳴り響いた。



「……あぁ、やっぱり来ちゃったか……」

「他所様に頼むのは気が引けるが、正直、戦力はいくらでも欲しいところだ。悪いが、手伝ってくれるか?」

技術四班主任、堀田の言葉に、二人は力強く頷いた。

テレーゼは、街に出て瓦礫を移動させたり、怪我人がいれば治癒魔法で治療を行うと申し出た。避難場所への誘導が楽になる、頼む、と、半ば縋るような声が返ってきたあたり、普段は相当切羽詰っているのだろう。「何とかうちに引き抜けないかな……」という呟きが聞こえたのは、スルーしておく事にする。

そして、フォルカーはと言えば……。

「じゃあ、俺は助太刀だな。あの変な服と仮面の奴ら、全員倒せば良いんだろ?」

言うや否や、すぐにでも剣を抜き放ちそうな体勢で驚くほどのスピードで、技術四班の部屋を出ていってしまう。

まだ、この街の仕組み──例えば、壊したらまずいライフラインの存在だとかを、何一つ教えていないというのに。

テレーゼはため息を吐き、そしてフォルカーの出ていった扉から、自らも出ていこうと歩を進める。

出ていく直前に、彼女は振り向き、そして少しだけ申し訳無さそうな顔をすると、技術四班の者達に向かって言った。

「申し訳ないのですが……〝あの台詞〟、また言う事になるかもしれない事を、覚悟しておいてくださいね……?」

その言葉に、室内の者達全員の顔が、ひくりと引き攣った。

テレーゼは、本当に申し訳無さそうな顔をしながら頭を下げると、そのまま部屋を出ていってしまう。

「……ライフラインはあかんよ……?」

彼女の背を見詰め、誰かが祈るように呟いたその言葉が、技術四班の室内に虚しく響き渡り、そして……。

『うぉっ、何だこれ!? 水が噴き出したぞ!?』

『ちょっ……水道管は斬ったら駄目ですって!』

『あっ! 電線は駄目! もっと駄目だよぉっ!』

彼らの願いを冷酷に打ち砕く声が、モニターから聞こえてきたのだった。